高校野球のビデオ検証ルールを解説|対象プレイ・回数・延長時まで整理

   

高校野球のビデオ検証ルールを解説|対象プレイ・回数・延長時まで整理

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高校野球のビデオ検証は、映像で確認できそうな判定を何でも見直せる制度ではありません。対象となる判定が公式規則で定められており、監督がプレイ後に速やかに伝令を通じて球審へ求める仕組みです。

基本は各チーム9イニングスで1回。延長に入ると、9回までに使った回数にかかわらず新たに1回求められます。ただし、判定が変わった場合の回数の扱いは、一般の特別規則と2026年の第108回全国高等学校野球選手権大会で異なります。

この記事で分かること

  • 高校野球のビデオ検証で対象になる9分類
  • ストライク・ボールなど主な対象外の判定
  • 監督が検証を求めてから結果が説明されるまでの流れ
  • 9回までの基本回数と判定変更時の扱い
  • 第108回夏の甲子園だけの回数特例
  • 延長に入った場合のルール
  • 一つのプレイに複数の対象判定がある場合の考え方

 

⚾ 高校野球のビデオ検証ルールをまず整理

2026年夏の甲子園から高校野球全国大会で導入

日本高等学校野球連盟は2026年4月24日の理事会で「大学及び高校野球におけるビデオ検証に関する特別規則」を承認し、高校野球の全国大会でビデオ検証を採用すると発表しました。

高校野球全国大会での実施は、第108回全国高等学校野球選手権大会からです。日本高野連は今後、選抜大会と明治神宮大会でも実施すると案内しています。

ここで注意したいのは、「高校野球のすべての公式戦で一斉に導入された」という意味ではないことです。日本高野連の公式解説では、設備や運営体制を踏まえ、実施可能な全国大会から導入する考え方が説明されています。

日本高野連「ビデオ検証の採用を決定」

まず覚えたい基本は「対象判定」と「回数」

制度を理解するときは、最初に「その判定が検証対象か」と「そのチームに検証回数が残っているか」を分けて確認すると整理しやすくなります。

確認項目 基本ルール
誰が求めるか 各チームの監督
申し出方法 高校野球では伝令を通じて球審へ申し出る
申し出る時期 対象判定後、またはそのプレイが一段落した後に速やかに
9回まで 各チーム1回が基本
延長 9回までの使用状況にかかわらず新たに1回
確証が得られない場合 元の判定どおり
ポイント

「アウト・セーフなら全部」「映像に映っていれば全部」という制度ではありません。まず検証対象かを確認し、その次に回数を見るのが基本です。

🎥 ビデオ検証の対象になる9分類

フォースプレイやタッグプレイなど9つに分類される

日本高野連の特別規則では、ビデオ検証の対象となる判定を9つの大きな分類に分けています。

フォースプレイやタッグプレイは対象ですが、「アウト・セーフ」という結果だけで対象になるわけではありません。どの種類のプレイによる判定なのかが重要です。

分類 主な対象 観戦時の注意点
1 本塁打またはエンタイトルツーベースの可能性がある打球 打球の扱いを映像で確認する
2 フォースプレイ 送球・捕球と走者到達などを確認する
3 タッグプレイ タッグと走者の位置・タイミングを確認する
4 キャッチ/ノーキャッチ 守備位置などに対象条件がある
5 フェア/ファウル 打球位置と元の判定に条件がある
6 走者に関するプレイ 追い越し、空過、リタッチなど
7 ヒットバイピッチ 投球が打者に触れたかを確認する
8 スイング 打者が振った投球がバットに触れず身体・着衣に触れたかという特定ケース
9 危険防止ルールに関するプレイ 衝突プレイや正しい塁へのスライディングなど

「9分類に入る=その種類が全部対象」ではない

9分類の名称だけを見ると、同じ種類の判定ならすべてビデオ検証できるように見えます。しかし、実際には分類ごとに条件があります。

たとえばキャッチ/ノーキャッチでは、外野手のプレイ、内野手が外野方向へ背走して外野で行ったプレイ、内野手より前方のファウル地域でのプレイなどが対象です。一方、内野手より前方のフェア地域で行ったプレイは対象とされていません。

フェア/ファウルも原則として、一塁塁審または三塁塁審の位置より後方に落ちた打球が対象です。塁審より前でフェアと判定された打球でも、その打球が打者本人または打者が所持するバットに当たったかどうかは例外的に対象となります。ただし、球審が最初から打者アウトまたはファウルと判定した場合は対象外です。

一覧表では分類を確認し、実際のプレイではその分類内の条件まで見る必要があります。

日本高野連「大学及び高校野球におけるビデオ検証に関する特別規則」

🚫 対象外と「条件付きで対象」を分けて考える

ストライク・ボールや通常のハーフスイングは対象外

ビデオ検証が導入されても、審判のあらゆる判定を映像で見直すわけではありません。

日本高野連の公式解説では、主な対象外として次のようなプレイが示されています。

  • 投球判定のストライク・ボール
  • 反則投球
  • 通常のハーフスイング
  • ファウルチップ
  • ボーク
  • 故意落球
  • インフィールドフライ
  • 打撃妨害
  • 守備妨害など

特にストライクかボールかを映像で再判定する制度ではありません。テレビ映像で確認できそうに見えても、それだけではビデオ検証の対象になりません。

死球と「スイング」の対象範囲を混同しない

ヒットバイピッチでは、投球が打者の身体や着衣に触れたかどうかは検証対象です。

しかし、その投球が打者に触れたときストライクゾーン内だったか、打者が投球を避けようとしたかどうかはビデオ検証の対象ではありません。

また、死球の確認にハーフスイングが関係する場合、球審はビデオ検証を始める前に塁審へスイングかどうかを確認します。スイングと判定されればビデオ検証の対象にはなりません。

一方、公式9分類の「スイング」には、打者が打ったりバントした投球がバットには触れず、打者の身体または着衣に触れたかどうかを確認する特定ケースがあります。通常のハーフスイング判定を映像で見直すこととは別のルールです。

注意

「死球なら全部映像で判断」「スイングという分類があるからハーフスイングも映像で再判定できる」という理解は正確ではありません。映像で確認できる論点そのものが限定されています。

📣 監督が求めてから結果が出るまで

高校野球では監督が伝令を通じて申し出る

特別規則では、各チームの監督が対象となる判定についてビデオ検証を求められると定めています。

高校野球向けのオペレーションマニュアルでは、監督が伝令を通じて球審へビデオ検証を求めるという具体的な運用が示されています。

申し出はいつでもよいわけではありません。対象判定があった後、またはその判定に関係するプレイが一段落した後に、速やかに求めます。

映像を確認するのはネット裏の3人

球審は申し出を受けると、その判定がビデオ検証の対象かを確認します。対象であればネット裏の検証担当へ実施を伝えます。

映像を確認するのは、ビデオ検証担当の審判幹事と控え審判2名の計3名です。グラウンド内の審判委員は映像確認には立ち会いません。

段階 主な動き
1 ビデオ検証の対象となる判定が発生
2 監督が速やかに伝令を通じて球審へ申し出る
3 球審が検証対象の判定か確認する
4 球審がネット裏の検証担当へ実施を伝える
5 審判幹事と控え審判2名が映像を確認する
6 審判幹事が球審へ検証結果を伝える
7 球審が結果と必要な試合再開状況を場内へ説明する

確証が得られなければ元の判定どおり

オペレーションマニュアルでは、ビデオ検証の時間は2分以内を目安としています。

映像から確証が得られない場合や、検証できる映像を持ち得なかった場合は、元の判定どおりです。映像を見たら必ず判定を変更する、という仕組みではありません。

一方、判定が変わった場合は、投球カウント、アウトカウント、打者走者、各塁の走者位置などを確認し、どの状態から試合を再開するかを決めます。この再開状況を決める処理は、2分の目安を超えても差し支えないとされています。

日本高野連「ビデオ検証に関するオペレーションマニュアル」

🔢 9回までの回数ルール

一般の特別規則では各チーム1回

基本となる特別規則では、各チームが9イニングスのうち1回、ビデオ検証を求められます。

たとえば3回に一度求め、検証後も判定どおりとなった場合、その1回を使った扱いになります。

ここでいう1回は「延長を含む試合全体で必ず1回だけ」という意味ではありません。延長に入ると、9回までの使用状況にかかわらず新たに1回が認められます。

判定が変われば一般規則では回数に数えない

一般の特別規則では、ビデオ検証の結果が元の判定どおりなら1回として数えます。

一方、判定が変わった場合は、そのビデオ検証を1回として数えません。

ただし、この一般規則だけを使って第108回全国高校野球選手権大会の残り回数を判断すると誤解が生じます。第108回大会には、判定変更後の追加回数を制限する特例があるためです。

🏟️ 第108回夏の甲子園には回数の特例がある

判定が変わっても追加はあと1回まで

第108回全国高等学校野球選手権大会では、9回までに行ったビデオ検証で判定が変わった場合、一般規則のように単純に「回数を消費しなかった」とだけ考えるのでは不十分です。

第108回大会では、判定が変わった後に9イニングスのうち追加で求められるのは、あと1回に限られます。

そのため、最初の検証で判定が変わり、追加の検証でも再び判定が変わったとしても、9回までにさらにもう一度求められるわけではありません。

一般規則と第108回大会特例をケース別に比較

状況 一般特別規則 第108回大会
9回まで・最初の検証が判定どおり その1回を使用 その1回を使用
9回まで・最初の検証で判定変更 回数に数えない あと1回に限り求められる
追加の検証でも判定変更 一般規則上は回数に数えない 9回までの追加は終了
延長へ入る 9回までの使用状況にかかわらず新たに1回 9回までの使用状況にかかわらず1回
一番混乱しやすいポイント

「判定が変わった=権利が何度でも復活」と覚えないことが重要です。第108回夏の甲子園では、9回までに追加できる回数へ明確な上限があります。

⏱️ 延長ではビデオ検証を何回使える?

延長に入ると新たに1回認められる

特別規則では、延長回に入った場合、9回までにビデオ検証を使ったかどうかに関係なく、各チームが1回求められます。

9回までに権利を使い切っていたチームでも、延長に入れば新たに1回の機会があります。

ここでは9回までの検証回数と延長回の検証回数を別枠として考えると、残り回数を整理しやすくなります。

第108回大会の延長は結果にかかわらず1回限り

第108回大会では、延長で認められた1回についても大会特例があります。

延長でビデオ検証を求めた後は、結果が元の判定どおりでも判定変更でも、その後に再度求めることはできません。

9回までの「判定変更後はあと1回」と、延長の「結果にかかわらず1回限り」は別のルールとして覚えると分かりやすくなります。

第108回大会の延長

9回までに何回使ったかに関係なく延長用の1回は与えられます。ただし、その1回を使った後は検証結果にかかわらず再申請できません。

🔄 一つのプレイに複数の対象判定がある場合

一連のプレイなら複数判定を1回で求められる

一つのプレイの流れの中で、ビデオ検証の対象となる判定が複数発生する場合があります。

特別規則では、一連のプレイの中に複数の対象判定があれば、その複数の判定について1回のビデオ検証として求められます。

ただし、複数の出来事が「一連のプレイ」に当たるかどうかは審判員が判断します。そのため、映像内に複数の出来事が映っているだけで、すべてを自由に検証対象へ追加できるわけではありません。

両チームから申し出があれば判定の順番で検証

オペレーションマニュアルでは、一連のプレイで攻撃側と守備側の両チームからビデオ検証の求めがあった場合、判定の順番に検証するとしています。

また、一連のプレイに複数の対象判定がある場合は、それぞれ当該判定の場所を示し、何を検証するのかを明確にする運用です。

ビデオ検証は「映像を最初から全部見直して、問題があれば何でも変更する制度」ではなく、対象となる判定を特定して検証する仕組みです。

🧭 プロ野球の「リクエスト」と同じではない

高校野球の正式な呼び方は「ビデオ検証」

プロ野球を見慣れていると、高校野球でも「リクエスト」と呼びたくなるかもしれません。

日本高野連が定めている制度名は「ビデオ検証」です。公式解説でも、メジャーリーグのチャレンジ、プロ野球のリクエスト、社会人野球や大学野球の映像判定を紹介しつつ、団体によって検証方法やルールは異なると説明しています。

プロ野球の対象プレイや回数を、そのまま高校野球へ当てはめない方が安全です。

観戦中は「対象・回数・大会特例」の順で確認する

試合中に「今のプレイはビデオ検証できる?」と迷ったら、次の順番で確認すると整理しやすくなります。

  1. その判定はビデオ検証の対象9分類に入るか
  2. その分類内の対象条件を満たしているか
  3. そのチームは9回までの権利を残しているか
  4. 第108回大会の追加1回特例に当たるか
  5. 延長なら延長用の1回をすでに使っていないか

この順番なら、「映像では分かりそうなのになぜ検証しないのか」「判定が変わったのになぜ次は使えないのか」といった疑問を、ルールに沿って切り分けられます。

まとめ

高校野球のビデオ検証では、対象となる判定、申し出方法、使用回数が細かく定められています。

基本は9回まで各チーム1回、延長で新たに1回です。一般特別規則では判定が変われば回数に数えませんが、第108回全国高校野球選手権大会では、9回までの追加はあと1回に限定され、延長では結果にかかわらず再度求められません。

対象プレイも「アウト・セーフなら何でも」ではなく、公式の9分類と個別条件があります。ストライク・ボールや通常のハーフスイングなど対象外もあるため、まず対象判定かどうかを確認することが大切です。

日本高野連のビデオ検証特別規則オペレーションマニュアルを確認すれば、公式の運用を直接確認できます。

高校野球の関連ルールを続けて確認したい方は、高校野球のDHルール甲子園の500球ルール甲子園の女性審判の役割もあわせて確認できます。

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