グラボの大きさ比較で失敗しない!サイズの規格から選び方、主要モデル30種以上の寸法データまで完全ガイド【2025年最新版】

      2025/09/08

グラボの大きさ比較で失敗しない!サイズの規格から選び方、主要モデル30種以上の寸法データまで完全ガイド【2025年最新版】

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「よし、決めた!憧れのハイエンドグラボ、NVIDIA GeForce RTX 4080 SUPERをついに購入した!これでどんな最新ゲームも最高設定で遊べるぞ!」

胸を躍らせながら帰宅し、早速PCのサイドパネルを開けて、今まで頑張ってくれた相棒のグラボを取り外します。

そして、ずっしりと重い真新しいグラボを、マザーボードのPCI Expressスロットに差し込もうとした、その瞬間…

「…え?うそだろ?PCケースのフレームに当たって、入らない…」

これは、PCの自作やパーツ交換を経験した多くのユーザーが、一度は冷や汗をかく(あるいは実際に経験してしまう)悲劇的なシナリオです。

性能や価格ばかりに目が行きがちで、最も基本的かつ重要な「グラボの大きさ」を見落としてしまうという、痛恨のミス。

この記事を読んでいるあなたも、「自分のPCケースにこのグラボは入るんだろうか?」「そもそも、グラボの大きさってどこを見ればいいの?」といった不安を抱えているのではありませんか?

ご安心ください。

この記事は、そんなあなたのための「グラボの大きさ比較の完全攻略ガイド」です。

この記事を最後まで読めば、スペックシートに並ぶ無味乾燥な数字が何を意味するのかを完璧に理解し、あなたのPC環境に物理的にも性能的にもピッタリと収まる"運命の一枚"を、確信を持って選び出すことができるようになります。

さあ、購入後の後悔を100%回避し、最高のPCライフを手に入れるための知識を身につけましょう!

第1章:なぜ「グラボの大きさ比較」が最重要なのか?性能チェックの前に知るべき根本理由

グラフィックボード(グラボ)を選ぶ際、多くの人がまず注目するのは「GeForce RTX 4070 SUPER」や「Radeon RX 7800 XT」といったGPUの型番、そしてビデオメモリ(VRAM)の容量、価格でしょう。

もちろん、それらは性能を決定づける重要な要素です。

しかし、それらと同等、いや、ある状況下ではそれ以上に重要なのが、物理的な「大きさ」の比較なのです。

なぜ近年、これほどまでにグラボのサイズが重要視されるようになったのか、その背景と理由を3つの視点から徹底的に解説します。

1-1. 悲劇を回避する!物理的にPCケースに収まらない「物理的干渉」のリスク

最も基本的で、そして最も致命的な問題がこれです。

どんなに高性能なグラボも、PCケースに入らなければただの高価な文鎮と化してしまいます。

2010年頃までのグラボは、ハイエンドモデルでも長さが270mm程度に収まるのが一般的でした。

しかし、GPUの性能が飛躍的に向上するにつれて消費電力と発熱量も増大し、それを冷却するためのヒートシンクやファンが巨大化した結果、現代のハイエンド・ミドルハイクラスのグラボは、全長が300mmを超えることは当たり前、中には350mmに迫るようなモンスター級の製品も珍しくありません。

一方で、PCケースには「搭載可能なグラフィックボード長」という物理的な上限が必ずスペックに明記されています。

チェックポイント:PCケースのスペックシートや公式サイトで、「最大GPU長」「VGAクリアランス」といった項目を必ず確認しましょう。

この数値を、購入したいグラボの「長さ(Length)」が下回っている必要があります。

SNSや価格比較サイトのレビューを見ると、「測ったつもりだったのに、ケースのフロントファンに干渉して入らなかった」「ドライブベイが邪魔で搭載できなかった」といった悲痛な叫びが数多く見受けられます。

こうした失敗は、単純なスペック比較だけでは見抜けないケース内の突起物や構造が原因で起こることもあり、事前の入念な確認が不可欠です。

1-2. 性能と冷却能力は「大きさ」に比例する!大型・小型それぞれの設計思想

「なぜ同じRTX 4070 SUPERなのに、メーカーによってこんなに大きさが違うの?」と疑問に思ったことはありませんか?

その答えは「冷却性能へのこだわり」にあります。

GPUはPCパーツの中でも特に発熱が大きい部品です。

その熱を効率的に冷却できなければ、GPUは本来の性能を維持できず、パフォーマンスが低下してしまいます(サーマルスロットリング)。

  • 大型グラボの思想:大きなヒートシンクと3つの大型ファンを搭載し、圧倒的な冷却性能を誇ります。

    これにより、GPUの性能を最大限に引き出すための高クロック動作(オーバークロック)が可能になり、安定した高パフォーマンスを発揮できます。

    また、ファンを低速で回転させても十分な冷却ができるため、結果的に静音性に優れたモデルも多いです。

    基板(PCB)自体も大きく設計できるため、安定した電力供給を可能にするための電源フェーズを豪華に搭載できるというメリットもあります。

  • 小型グラボの思想:ヒートシンクやファンが小さいため、冷却性能には限界があります。

    そのため、性能は控えめに設定されていることが多いです。

    しかし、スリムPCやMini-ITXなどのコンパクトなPCケースに搭載できるという、代えがたいメリットがあります。

    省スペース性を最優先するユーザーにとって、唯一無二の選択肢となるのです。

つまり、グラボの大きさ比較とは、単に「入るか入らないか」だけでなく、「求めるパフォーマンスと静音性、そして設置可能なスペースのトレードオフ」を深く考える行為でもあるのです。

1-3. 見落とし厳禁!マザーボードや他パーツとの「内部干渉」という名のパズル

長さの問題をクリアしても、まだ安心はできません。

「厚さ」と「高さ(幅)」という、もう2つの刺客が待ち構えています。

厚さ (Thickness)の問題:
最近の高性能グラボは、冷却機構の巨大化により、マザーボードの拡張スロットを2.5個分や3個分、中には4個分も占有する製品があります。

もしあなたのマザーボードで、グラボ用のPCIeスロットのすぐ下にサウンドカードやキャプチャーボードを挿す予定のスロットがあった場合、厚いグラボを設置するとそのスロットが完全に塞がれてしまい、使用できなくなります。

高さ・幅 (Height/Width)の問題:
グラボの「高さ」も重要な要素です。

特に、補助電源コネクタがカードの上部(サイドパネル側)についているモデルの場合、コネクタとケーブルのクリアランスも考慮しないと、PCケースのサイドパネルが閉まらなくなる、という事態に陥ることがあります。

特に幅の狭いPCケースでは致命的です。

このように、グラボの大きさ比較は、PCケースだけでなく、マザーボードや他のパーツとの立体的な関係性まで考慮する必要がある、非常に奥深い三次元パズルなのです。

第2章:グラボの大きさを決める3つの重要指標!スペックシートの読み解き方

それでは、実際にグラボの大きさを比較するためには、スペックシートのどこを見れば良いのでしょうか?

「長さ・高さ・厚さ」という3つの重要指標について、その定義と確認方法を詳しく解説します。

2-1. ① 長さ (Length):PCケースの奥行きとの直接対決

定義:グラボをPCケースに取り付ける際の金属プレート(ブラケット)の端から、グラボの最も遠い端(通常はファンカバーの先端)までの直線距離です。

通常、「mm(ミリメートル)」単位で表記されます。

これは、PCケースの「最大GPU長」と直接比較する、最も重要な数値です。

例えば、PCケースの最大GPU長が320mmの場合、長さ330mmのグラボは絶対に搭載できません。

読み解き方のコツ:メーカー公式サイトの製品ページにある「仕様 (Specifications)」や「スペック (Specs)」の欄を探しましょう。

「Dimensions」や「Card Size」といった項目に「L=328.9mm」や「Length: 329mm」のように記載されています。

この「L」や「Length」が長さに該当します。

2-2. ② 高さ・幅 (Height/Width):サイドパネルと補助電源ケーブルの戦い

定義:マザーボードのPCI Expressスロットに挿し込んだ基板の端から、グラボの最も高い部分(通常はファンカバーやバックプレートの上端)までの距離です。

メーカーによっては「Width」と表記されたり、「Height」と表記されたりしますが、意味合いは同じです。

この数値は、PCケースの幅と関係します。

特に重要なのは、スリムPC向けの「ロープロファイル(Low Profile)」規格です。

  • フルハイト (Full Height): 一般的なグラボの高さ。

    約111mm前後が基準ですが、最近の大型モデルは130mmや140mmを超えるものも多いです。

  • ロープロファイル (Low Profile): 高さが約64mmに規定された規格。

    スリムタワーPCなど、幅の狭いケースに搭載するために必須となります。

読み解き方のコツ:長さと同様に「Dimensions」の項目に「W=130.5mm」や「Height: 140mm」と記載されています。

最重要注意点として、補助電源コネクタが上向きについている場合、ケーブルの曲げしろとしてさらに20mm~30mmの余裕を見ておかないと、サイドパネルが閉まらなくなる事故が多発します。

特に硬いスリーブケーブルなどを使っている場合は注意が必要です。

2-3. ③ 厚さ (Slot / Thickness):マザーボードの拡張性を左右する占有率

定義:グラボがPCの背面にある拡張スロットを何個分占有するかを示す指標です。

「2 Slot」「2.5 Slot」「3 Slot」のように表記されます。

また、具体的な厚みが「H=55.1mm」のようにmm単位で表記されていることもあります。

1スロットの幅は約20mmなので、例えば「2.5スロット厚」であれば、厚みは約50mm程度となります。

読み解き方のコツ:製品ページの画像を見れば、背面のブラケットが何スロット分あるかでおおよその厚さは判断できます。

正確な数値は「Dimensions」の「H」や「Thickness」、「Slot Size」といった項目で確認しましょう。

この数値が大きいほど、マザーボード上の他の拡張スロットが利用できなくなる可能性が高まります。

また、2.5スロット厚などの「0.5」表記のモデルは、実質3スロット分のスペースを占有すると考えておいた方が安全です。

第3章:【2025年最新】主要メーカー・ブランド別!人気グラボの大きさ比較一覧

お待たせしました。

ここからは、現在市場で主流となっているNVIDIA、AMD、Intelの主要グラボについて、具体的なモデルを挙げながらその大きさを徹底比較していきます。

同じGPUチップを搭載していても、冷却機構の設計によってメーカーごとに寸法は大きく異なります。

ここでは代表的なモデルの寸法を掲載しますが、ご購入前には必ず、検討している特定モデルの公式サイトで最終的な寸法をご確認ください。

各製品のより詳細なスペックやレビューは、PCパーツの詳細なデータベースを持つTechPowerUpのGPU Databaseなども参考にすると良いでしょう。

3-1. NVIDIA GeForce RTX 40シリーズ SUPER / 40シリーズ 大きさ比較

現行世代の主力であるRTX 40シリーズは、その高い性能と引き換えに、大型モデルが多いのが特徴です。

ハイエンドクラス (RTX 4090 / RTX 4080 SUPER)

4Kゲーミングや高度なクリエイティブ作業をターゲットとするフラッグシップモデル。

その大きさはまさに圧巻の一言。

大型のフルタワー、あるいは奥行きに余裕のあるミドルタワーケースが必須となります。

モデル 代表的な製品 長さ 高さ(幅) 厚さ
RTX 4090 ASUS ROG Strix OC 357.6 mm 149.3 mm 70.1 mm (3.5スロット)
RTX 4090 MSI SUPRIM LIQUID X 274 mm (カード本体) 140 mm 43 mm (2スロット)
RTX 4080 SUPER NVIDIA Founders Edition 304 mm 137 mm 61 mm (3スロット)
RTX 4080 SUPER GIGABYTE AORUS MASTER 357 mm 163 mm 75 mm (3.75スロット)

ポイント:RTX 4090や4080 SUPERでは、全長350mm超、厚さ3.5スロット以上が珍しくありません。

一方で、MSIのSUPRIM LIQUID Xのような簡易水冷モデルは、カード本体はコンパクトですが、別途240mmサイズのラジエーターを設置するスペースが必要になります。

アッパーミドルクラス (RTX 4070 Ti SUPER / RTX 4070 SUPER)

WQHD(1440p)解像度での高フレームレートゲーミングに最適な、非常に人気の高いクラスです。

性能とサイズのバランスが良いモデルが多いですが、大型の3ファンモデルも多数存在します。

モデル 代表的な製品 長さ 高さ(幅) 厚さ
RTX 4070 Ti SUPER ASUS TUF Gaming OC 305 mm 138 mm 65 mm (3.25スロット)
RTX 4070 Ti SUPER ZOTAC GAMING Trinity OC 306.8 mm 119.4 mm 58.5 mm (2.5スロット)
RTX 4070 SUPER NVIDIA Founders Edition 267 mm 112 mm 40 mm (2スロット)
RTX 4070 SUPER MSI GAMING X SLIM 307 mm 125 mm 46 mm (2.3スロット)

ポイント:NVIDIAのFounders Editionは比較的コンパクトな設計で、多くのPCケースに適合しやすいのが魅力です。

一方で、各社のOC(オーバークロック)モデルは300mmを超えるものが主流。

特にZOTACやMSIのSLIMモデルなどは、同性能でも少しコンパクトな設計がされており、ケースのクリアランスが厳しい場合に良い選択肢となります。

ミドルレンジクラス (RTX 4060 Ti / RTX 4060)

フルHD(1080p)ゲーミングにおいて最高のコストパフォーマンスを発揮するクラス。

コンパクトな2ファンモデルから、静音性を重視した大型の3ファンモデルまで、選択肢が最も豊富なのが特徴です。

モデル 代表的な製品 長さ 高さ(幅) 厚さ
RTX 4060 Ti ASUS Dual OC 227.2 mm 123.24 mm 49.6 mm (2.5スロット)
RTX 4060 Ti GIGABYTE AORUS ELITE 301 mm 128 mm 56 mm (2.8スロット)
RTX 4060 MSI VENTUS 2X BLACK OC 199 mm 120 mm 41 mm (2スロット)
RTX 4060 GIGABYTE ロープロファイルモデル 182 mm 69 mm 40 mm (2スロット)

ポイント:RTX 4060クラスになると、全長200mmを切るようなコンパクトなモデルが登場し、Mini-ITXなどの小型PCケースへの搭載も現実的になります。

特筆すべきはGIGABYTEからリリースされているロープロファイル対応のRTX 4060で、スリムPCをパワフルなゲーミングマシンに変身させる可能性を秘めています。

3-2. AMD Radeon RX 7000シリーズ 大きさ比較

NVIDIAの強力なライバルであるAMD Radeonシリーズも、高性能なモデルを多数ラインナップしています。

一般的に、同等性能のGeForceと比較して、リファレンスデザインはややコンパクトな傾向があります。

ハイエンドクラス (RX 7900 XTX / RX 7900 XT)

モデル 代表的な製品 長さ 高さ(幅) 厚さ
RX 7900 XTX AMD リファレンスモデル 287 mm 123 mm 51 mm (2.5スロット)
RX 7900 XTX Sapphire NITRO+ 320 mm 135.75 mm 71.6 mm (3.5スロット)
RX 7900 XT AMD リファレンスモデル 276 mm 113 mm 51 mm (2.5スロット)

ポイント:AMD自身が設計したリファレンスモデルは、全長が290mm以下に抑えられており、比較的多くのケースに搭載可能です。

一方で、SapphireやPowerColorといったAIBパートナー製の高性能モデルは、GeForce同様に大型化する傾向にあります。

アッパーミドルクラス (RX 7800 XT / RX 7700 XT)

モデル 代表的な製品 長さ 高さ(幅) 厚さ
RX 7800 XT AMD リファレンスモデル 267 mm 110 mm 49 mm (2.5スロット)
RX 7800 XT PowerColor Hellhound 322 mm 134 mm 50 mm (2.5スロット)
RX 7700 XT ASRock Challenger OC 267 mm 130 mm 45 mm (2.2スロット)

ポイント:このクラスでもAMDのリファレンスモデルは267mmと非常にコンパクト。

RTX 4070 SUPERのFounders Editionと全く同じ長さであり、両者の良い比較対象となります。

3-3. 第三の選択肢!Intel Arc Aシリーズの大きさは?

市場に再参入したIntelのArcシリーズも見逃せません。

特に自社設計のLimited Editionは、その洗練されたデザインと標準的なサイズ感が魅力です。

モデル 代表的な製品 長さ 高さ(幅) 厚さ
Arc A770 Intel Limited Edition 267 mm 112 mm 40 mm (2スロット)
Arc A750 Intel Limited Edition 267 mm 112 mm 40 mm (2スロット)

ポイント:IntelのArc A770/A750 Limited Editionは、奇しくもRTX 4070 SUPER FEやRX 7800 XTリファレンスと同じ全長267mm、厚さ2スロットという、非常に扱いやすいサイズになっています。

デザイン性を重視しつつ、コンパクトにまとめたいユーザーには面白い選択肢です。

第4章:【実践編】失敗しない!自分のPCに合うグラボの大きさ確認・比較 5ステップ

さて、各グラボの具体的な大きさがわかったところで、いよいよ最終段階です。

あなたのPCに、目当てのグラボが本当に収まるのかを確認する、実践的な5つのステップをご紹介します。

メジャー(巻尺)を用意して、一緒に作業を進めましょう!

ステップ1:まずは基本!PCケースの公式スペックを調べる

最も簡単で基本的な確認方法です。

お使いのPCケースのメーカー名と型番を調べ、公式サイトにアクセスします。

型番は、PCケースの側面、背面、あるいは購入時の箱や説明書に記載されていることが多いです。

公式サイトの製品ページで「仕様」「スペック」といった項目を探し、以下の2つを必ずメモしてください。

  • 最大グラフィックスカード長 (Maximum GPU Length)
  • 最大CPUクーラー高 (Maximum CPU Cooler Height) ※これはケースの幅のおおよその目安になります。

ステップ2:ケースを開けて内部を実測!見えない障害物を見つけ出せ

公式サイトのスペックだけを鵜呑みにするのは危険です。

PCの電源を完全に切り、コンセントを抜いてからサイドパネルを開け、メジャーで実際に内部を測定しましょう。

測定ポイント:

  1. マザーボードのPCI Express x16スロット(グラボを挿す一番上の長いスロット)の、PC背面のブラケット取り付け位置から、PC前面のケースファンやドライブベイまでの直線距離を測ります。

    これが、実質的な最大GPU長です。

  2. 前面に後付けでファンを追加していたり、3.5インチHDDケージがある場合、公式スペックよりも搭載可能長が短くなっていることがあります。

    特にHDDケージの位置をずらせるタイプのケースでは、現在の設置位置を基準に測定することが重要です。

ステップ3:マザーボードのレイアウトを確認し、内部干渉を予測する

次に、マザーボード上での干渉がないかを確認します。

購入したいグラボの「厚さ」を念頭に置きながら、以下の点を確認してください。

  • PCIeスロット直下:グラボを挿すスロットの真下に、USBヘッダーやオーディオヘッダー、SATAポート、M.2 SSDスロットなどがありませんか?

    2.5スロット厚以上のグラボを搭載すると、これらのポートがクーラーに覆われてしまい、アクセスできなくなる可能性があります。

    特にL字型のSATAケーブルが必要になるケースも多いです。

  • CPUクーラーとの干渉:非常に大型の空冷CPUクーラー(Noctua NH-D15など)を使用している場合、グラボのバックプレートとクーラーのヒートシンクが接触しないか、念のため確認しておくと安心です。
  • チップセットヒートシンク:マザーボードによっては、大型のチップセットヒートシンクがPCIeスロットの近くに配置されていることがあります。

    極端に厚いグラボの場合、干渉の可能性がないか確認しましょう。

ステップ4:心臓部をチェック!電源ユニット(PSU)の容量と補助電源コネクタ

大型のグラボは、人間で言えば大食いのスポーツ選手のようなもの。

たくさんの電力を消費します。

電源ユニットの側面にあるラベルを見て、以下の2点を確認しましょう。

  1. 総出力 (Total Power): 「750W」「850W」のように記載されている全体の容量です。

    NVIDIAやAMDの公式サイトには、各GPUの「推奨システム電源」が記載されているので、それを満たしているか確認します。

    迷ったら、推奨値よりも100W程度余裕のあるモデルを選ぶと、将来的な安定性にも繋がります。

  2. 補助電源コネクタ:グラボが必要とする補助電源コネクタ(PCIe 6+2ピンや、最新の12VHPWR)が、ご自身の電源ユニットから十分な数だけ出ているか確認します。

    変換ケーブルは最後の手段と考え、できるだけ電源ユニットから直接供給するのが理想です。

    特にRTX 40シリーズで採用が進む12VHPWRコネクタは、しっかりと奥まで差し込まないと接触不良によるトラブルの原因となるため、丁寧な接続が求められます。

ステップ5:最終ジャッジ!購入候補のグラボの公式寸法と徹底比較

ここまでのステップで得られた情報(実測したケースの最大長、マザーボードの空きスペース、電源のスペック)と、購入を検討しているグラボの公式サイトに記載されている正確な寸法(L x W x H)を最終的に照らし合わせます。

全ての項目がクリアできていれば、あなたは安心してそのグラボを購入することができます!

おめでとうございます!

第5章:「グラボの大きさ比較」でよくある質問 Q&A

最後に、グラボの大きさ比較に関して、ユーザーからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q1. 大きいグラボは重さで垂れ下がると聞きました。対策は必要ですか?

A. はい、特に全長が長く重量のあるハイエンドモデルでは、対策を強く推奨します。

最近のグラボは1kgを超えるものも多く、長期間使用していると自重でマザーボードのPCIeスロットに負荷がかかり、基板が歪んだり接触不良の原因になったりする可能性があります。

これを防ぐために、「VGAサポートステイ」「グラフィックスカードホルダー」と呼ばれる支持具の使用が効果的です。

数千円で購入できるシンプルなつっぱり棒タイプのものから、LEDで光る装飾性の高いものまで様々です。

PCケースによっては標準で付属しているものもあります。

Q2. メーカー(ASUS, MSI, Gigabyteなど)によって同じGPUでも大きさが違うのはなぜ?

A. 主に、各社が独自に設計した「冷却機構」と「基板設計」の違いによるものです。

GPUチップ自体はNVIDIAやAMDから供給されますが、それを冷却するためのヒートシンクの形状、ヒートパイプの数と配置、ファンのサイズと枚数、基板の設計などは、各メーカーが独自に行っています。

より高い冷却性能と静音性を追求した結果、ASUSの「ROG Strix」やMSIの「SUPRIM」、GIGABYTEの「AORUS」といったハイエンドブランドの製品は、大型のヒートシンクと豪華な電源回路を搭載するため、大型化する傾向にあります。

Q3. ライザーケーブルを使えばどんな大きさのグラボでも入りますか?

A. 搭載の自由度は増しますが、万能ではありません。

ライザーケーブルは、グラボをマザーボードから離れた場所に設置(例えば、垂直に立てて設置する)できるようにする延長ケーブルです。

これにより、長さや厚さの制約を回避できる場合があります。

しかし、ケーブル自体の品質(特にPCIe 4.0対応など)がパフォーマンスに影響したり、ケース自体が垂直設置に対応した構造である必要があったりと、別の注意点が出てきます。

上級者向けのカスタマイズと言えるでしょう。

Q4. 中古のグラボを買うときの大きさの注意点はありますか?

A. 現物の状態と付属品の有無をしっかり確認することが重要です。

中古品の場合、元箱や説明書、付属のサポートステイなどが欠品している可能性があります。

購入前に、出品者に依頼して実際の寸法を測ってもらうのが最も確実です。

また、特にマイニングなどで長期間高負荷で稼働していた大型グラボは、ヒートシンクの重みで基板にわずかな歪みが生じている可能性もゼロではないため、慎重な確認が必要です。

Q5. 将来のアップグレードを見越して、PCケースは大きめを選ぶべき?

A. その通りです。特にこだわりがなければ、拡張性の高いケースを選ぶのが賢明です。

将来、より高性能なグラボに交換したくなった際に、「ケースが小さいから搭載できない」という事態を避けるため、PCを自作する最初の段階で、できるだけ拡張性に余裕のあるPCケース(特にATXミドルタワー以上で、最大GPU長が350mm以上あるもの)を選んでおくことを強くお勧めします。

初期投資は少し増えるかもしれませんが、将来のパーツ選びの自由度が格段に上がり、結果的に満足度の高いPCライフに繋がります。

最適なグラボの大きさを見極め、最高のPC環境を構築しよう

ここまで、グラボの大きさ比較の重要性から、具体的な確認方法、主要モデルの寸法データまで、非常に長い道のりを一緒に歩んできました。

改めて、重要なポイントを振り返ってみましょう。

  • グラボ選びでは、性能だけでなく「大きさ(長さ・高さ・厚さ)」の比較が、購入後の失敗を防ぐために不可欠であること。
  • 大きさは、PCケースだけでなく、マザーボードや他のパーツとの干渉も考慮する必要がある、立体的なパズルであること。
  • 確認作業は、「①公式スペック調査 → ②実測 → ③内部干渉予測 → ④電源確認 → ⑤最終比較」という5つのステップで確実に行うこと。

この記事で得た知識は、あなたを「グラボ選びの失敗」という悪夢から永遠に解放してくれる、強力な武器となるはずです。

スペックシートの数字に怯える必要はもうありません。

一つ一つの意味を理解し、手順通りに確認すれば、誰でも自分のPCに最適なグラボを選ぶことができます。

さあ、メジャーを手に、あなたのPCケースの可能性を測ってみましょう!

そして、最高のゲーミング&クリエイティブライフへの扉を開く、完璧なグラフィックボードを見つけ出してください!

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