A520とB550の違いを徹底比較!自作PC初心者も安心、あなたに最適なマザーボードの選び方を完全解説

      2025/09/08

A520とB550の違いを徹底比較!自作PC初心者も安心、あなたに最適なマザーボードの選び方を完全解説

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「よし、AMDで自作PCに挑戦するぞ!」

そう意気込んでパーツ選びを始めたものの、すぐに大きな壁にぶつかっていませんか。

特にマザーボード選びでは、「A520」と「B550」という2つのチップセットの違いが分からず、頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。

「価格が安いA520で十分なのかな?」
「いや、でも性能が良いと評判のB550を選ぶべきか…?」
「そもそも、この二つのチップセットの違いって、PCの使い心地にどれくらい影響があるの?」

そんなあなたの悩み、この記事がすべて解決します。ご安心ください。

本記事を最後までお読みいただければ、A520とB550の性能、拡張性、そして価格の明確な違いが手に取るように理解でき、あなたの目的と予算に完璧にマッチした、後悔しないマザーボードを選べるようになります。

結論から先にお伝えしましょう。

コストを最優先し、Web閲覧やドキュメント作成といった基本的な性能があれば十分なら『A520』

一方、最新ゲームや動画編集を快適にこなし、将来のパーツアップグレードも見据えるなら『B550』が、2025年現在の最適な選択です。

ただし、このシンプルな結論の裏には、「PCIe 4.0」や「オーバークロック」といった、PCのポテンシャルを大きく左右する重要な要素が隠されています。

この記事では、自作PC初心者の方でもつまずかないよう、専門用語も一つひとつ丁寧に解説しながら、A520とB550の違いを丸裸にしていきます。

さあ、最高のPCを組むための第一歩を踏出しましょう!

第1章:そもそもチップセットとは?A520とB550の基本を知ろう

1-1. A520とB550の前に:マザーボードの「チップセット」って何?

「A520とB550の違い」を理解する上で、まず避けては通れないのが「チップセット」という言葉です。

これを理解することが、賢いマザーボード選びの基礎となります。

チップセットとは、一言でいえば「PCパーツたちを束ねる司令塔」です。

マザーボードという基板の上に乗っている、最も重要な部品の一つと考えてください。

人間の体に例えるなら、CPUが「脳」だとすれば、チップセットは「神経系」のようなものです。

脳(CPU)からの命令を、手足(メモリ、グラフィックボード)や各種臓器(ストレージ、USBデバイス)に伝え、それらがスムーズに連携して動けるようにコントロールしています。

具体的には、以下のような役割を担っています。

  • CPUとメモリ、グラフィックボード間のデータ交換の仲介
  • SSDやハードディスクなどのストレージ(SATAやM.2)の制御
  • キーボードやマウス、外部ストレージなどを接続するUSBポートの制御
  • 有線LANやサウンド機能の制御

つまり、どのチップセットを選ぶかによって、マザーボードの機能や拡張性、そして一部の性能が決まってしまうのです。

使えるUSBポートの数や速度、接続できるSSDの種類や数が変わってくるのは、すべてこのチップセットの能力の違いによるものです。

AMDのCPUに対応するチップセットには、性能と機能に応じて主に3つのグレードが存在します。

  1. Xシリーズ (例: X570): ハイエンドモデル。最も多機能で、オーバークロックなどの高度な設定にも対応。最高のパフォーマンスを求めるエンスージアスト向け。
  2. Bシリーズ (例: B550): ミドルレンジモデル。性能と価格のバランスに優れ、PCIe 4.0やオーバークロックなど、多くのユーザーが必要とする主要な機能を搭載。最も人気のあるシリーズです。
  3. Aシリーズ (例: A520): エントリーモデル。基本的な機能に絞り、価格を抑えたモデル。オーバークロックには対応しないなど、機能は限定的です。

今回比較するA520はエントリーモデル、B550はミドルレンジモデルに位置づけられ、それぞれ異なるユーザー層をターゲットに設計されていることがわかります。

1-2. 「A520とB550の違い」の核心!AM4プラットフォームにおける2025年の立ち位置

A520とB550は、どちらも「AM4(Socket AM4)」というCPUソケットに対応したチップセットです。

これは、AMDが2016年から長年にわたって提供してきた、非常に息の長いプラットフォームです。

2025年現在、市場の最先端は次世代の「AM5」プラットフォームへと移行しつつあります。

AM5は、DDR5メモリやPCIe 5.0といった最新技術に対応する、まぎれもなく未来のスタンダードです。

では、なぜ今さら旧世代ともいえるAM4のA520とB550を比較する価値があるのでしょうか?

その答えは、ずばり「圧倒的なコストパフォーマンス」にあります。

AM5プラットフォームは、CPU、マザーボード、そして必須となるDDR5メモリのすべてがまだ高価です。

PC一式を組むとなると、かなりの予算が必要になります。

一方で、AM4プラットフォームは市場が成熟しきっており、高性能なRyzen 5000シリーズのCPU(例えば、今なお最強クラスのゲーミング性能を誇るRyzen 7 5800X3Dや、驚異的なコスパを誇るRyzen 5 5600など)が手頃な価格で入手可能です。

マザーボードやDDR4メモリも非常に安価で、予算を抑えつつ、現代のゲームや作業を快適にこなせる非常に強力なPCを組むことができるのです。

「最新技術にはこだわらないけれど、性能には妥協したくない」
「限られた予算で、できるだけ高性能なPCが欲しい」

——そう考える多くのユーザーにとって、AM4は2025年においても最高の選択肢の一つなのです。

そのAM4プラットフォームの中で、「コストを極限まで切り詰めるか」「性能と拡張性に少し投資するか」という選択肢を具体化したものが、A520とB550というわけです。

第2章:【徹底比較】A520とB550、7つの重要な違い

ここからが本題です。

A520とB550の違いを、PCのパフォーマンスや使い勝手に直結する7つの重要なポイントに絞って、徹底的に比較・解説していきます。

この章を読み終える頃には、両者の違いが明確になっているはずです。

2-1.【最重要】PCI Express (PCIe) の世代の違い:B550は「PCIe 4.0」に対応

A520とB550の最大かつ最も重要な違い、それはPCI Express(PCIe)の対応世代です。

  • B550: CPUに接続されるPCIeレーンが、高速なPCIe 4.0に対応
  • A520: CPUに接続されるPCIeレーンは、PCIe 3.0までの対応

PCIeとは、マザーボード上のパーツ同士を接続するための「データが通る道(バス規格)」の一種です。

特に、グラフィックボードや超高速なNVMe M.2 SSDといった、大量のデータをやり取りする必要があるパーツの接続に使われます。

世代が上がるごとに、この道の幅(帯域幅)が2倍になります。

つまり、PCIe 4.0はPCIe 3.0の約2倍のデータ転送速度を誇るのです。

この差が、PCの性能に具体的にどう影響するのでしょうか?

グラフィックボードへの影響は限定的

現代の最新グラフィックボード(NVIDIA GeForce RTX 40シリーズやAMD Radeon RX 7000シリーズなど)は、その性能を最大限に発揮するためにPCIe 4.0接続を前提に設計されています。

では、A520マザーボード(PCIe 3.0)に最新のグラボを搭載するとどうなるでしょうか?

結論から言うと、「ほとんどのゲームで体感できるほどの性能差はない」が答えです。

多くのベンチマークテストで、GeForce RTX 4070クラスのグラフィックボードをPCIe 4.0とPCIe 3.0で比較しても、性能差は1~3%程度に留まります。

これは、ほとんどのゲームにおいて、グラフィックボードがPCIe 3.0の帯域幅を使い切ることがないためです。

最高の環境を求めるならB550のPCIe 4.0対応は精神的な満足感を与えてくれますが、純粋なコストパフォーマンスで考えれば、A520のPCIe 3.0でも最新グラボの性能を大きく損なうことはない、と覚えておきましょう。

NVMe M.2 SSDへの影響は絶大

PCIe世代の違いが最も顕著に現れるのが、NVMe M.2 SSDという超高速ストレージです。

PCIe 4.0に対応したSSDは、シーケンシャルリード(連続読み込み)速度が7,000MB/sを超える製品も珍しくありません。

これは、PCIe 3.0対応SSD(最高3,500MB/s程度)の2倍、従来のSATA接続SSD(最高550MB/s程度)の10倍以上の速度です。

この速度差は、以下のような場面で劇的な快適さの違いを生み出します。

  • 大容量ゲームのロード時間短縮: 広大なマップを持つオープンワールドゲームや、Microsoftが開発した「DirectStorage」技術対応ゲームの読み込みが驚くほど速くなります。
  • OSやアプリケーションの起動高速化: PCの電源を入れてからデスクトップが表示されるまでの時間や、ソフトの起動時間が短縮されます。
  • 動画編集: 4Kなどの高解像度な動画素材のプレビューやレンダリング(書き出し)がスムーズになります。
  • 大容量ファイルのコピー・移動: 数十ギガバイトのファイル移動もあっという間に完了します。

B550マザーボードであれば、このPCIe 4.0 SSDの性能を余すことなく享受できます。

一方、A520マザーボードにPCIe 4.0 SSDを搭載しても、PCIe 3.0の速度(上限約3,500MB/s)でしか動作しません。

もちろん、それでもSATA SSDよりはずっと高速ですが、「せっかくの高性能SSDを活かしきれない」という状態になってしまうのです。

ストレージ速度にこだわり、PC作業全体の快適性を追求するなら、B550は必須の選択と言えるでしょう。

2-2. パフォーマンス追求の分かれ道:CPUオーバークロックの可否

もう一つの決定的な違いが、CPUオーバークロック(OC)への対応です。

  • B550: CPUのオーバークロックに対応
  • A520: CPUのオーバークロックに非対応

オーバークロックとは、CPUをメーカーが定めた定格の動作クロック周波数以上に引き上げて、さらなるパフォーマンスを絞り出す行為です。

例えば、定格4.0GHzで動作するCPUを4.2GHzで動かす、といったチューニングを指します。

B550チップセットは、このCPUオーバークロックが可能です。

PCの性能を限界まで引き出してみたい、少しでもゲームのフレームレートを上げたい、ベンチマークソフトで高いスコアを出したい、といった探求心旺盛なユーザーの要求に応えることができます。

ただし、OCにはメリットだけでなく、以下のようなデメリットやリスクも伴います。

  • 消費電力と発熱の増加: より高い性能のCPUクーラーが必要になります。
  • PCの不安定化: 無理な設定をすると、システムがクラッシュしたり、ブルースクリーンが頻発したりします。
  • CPUの寿命を縮める可能性: CPUに高い負荷をかけるため、製品寿命が短くなるリスクがあります。
  • メーカー保証の対象外: OCが原因による故障は、基本的にメーカー保証を受けられません。

一方、A520チップセットはCPUのOCに一切対応していません。

これは一見デメリットのようですが、「余計な機能は不要」「安定して使えればそれでいい」と考えるユーザーにとっては、むしろシンプルで分かりやすいというメリットにもなります。

OCのような高度な設定に興味がなく、PCを安定して使いたい初心者やライトユーザーにとっては、A520の割り切った仕様は合理的と言えるでしょう。

ちなみに、メモリのオーバークロック(XMPやEXPOプロファイルの適用)に関しては、A520もB550も両方対応しています

高速なメモリを使って性能を引き上げることは、どちらのチップセットでも可能です。

2-3. 将来性が決まる!拡張性の違い (スロット数とポート類)

PCを長く使っていく上で重要になるのが、後からパーツを増設したり、周辺機器を追加したりできる「拡張性」です。

この点においても、A520とB550には明確な差があります。

一般的に、ミドルレンジであるB550搭載マザーボードの方が、エントリーのA520よりも豊富なスロットやポートを備えています。

以下に、一般的なA520とB550マザーボードの仕様比較表を示します。(※これはあくまで典型的な例であり、実際の製品によって仕様は異なります。)

機能 B550 (ミドルレンジ) A520 (エントリー) どちらを選ぶべきか?
CPU直結 PCIe対応 PCIe 4.0 PCIe 3.0 超高速SSDの性能を活かすならB550。
CPU OC対応 対応 非対応 性能を追求したいならB550。
M.2ソケット数 2基以上が多い (1基はPCIe 4.0対応) 1基が主流 (PCIe 3.0対応) 高速SSDを2枚以上使いたいならB550。
SATA 3.0ポート数 4~6基 4基が主流 HDD/SSDを多数搭載するならB550が有利。
USB 3.2 Gen2 (10Gbps) 対応 (2ポート程度) 非対応 (Gen1まで) 超高速な外付けSSDなどを使うならB550。
VRMフェーズ数 多い傾向 (8+2フェーズなど) 少ない傾向 (4+2フェーズなど) 高性能CPUを安定動作させるならB550。

M.2/SATAポート数

最も分かりやすい違いはストレージの拡張性です。

B550マザーボードは、超高速なNVMe M.2 SSDを搭載できるM.2ソケットを2基備えているのが一般的です。

これにより、「OS用の高速SSD」と「ゲームやデータ保存用の大容量SSD」といった贅沢な構成が可能です。

一方、A520はM.2ソケットが1基のみの製品が多く、将来的にM.2 SSDを増設したくなった場合、既存のものと交換する必要があります。

HDDやSATA SSDを接続するためのSATAポートも、B550の方が数が多い傾向にあります。

多くのストレージを内蔵したいと考えているなら、B550を選んでおく方が安心です。

USBポート

USBポートの数や種類も重要なポイントです。

特に、最大10Gbpsの転送速度を誇る「USB 3.2 Gen2」にチップセットレベルで対応しているのがB550の強みです。

これにより、高速な外付けSSDやキャプチャーボードなどの性能を最大限に引き出せます。

A520は一つ下のUSB 3.2 Gen1 (5Gbps)までの対応となります。

多くの周辺機器を接続したり、高速なデータ転送を多用したりするユーザーは、B550の豊富なUSBポートが役立つでしょう。

2-4. PCの安定性を左右する:VRM(電源供給回路)の違い

VRM(Voltage Regulator Module)とは、CPUに安定した電力を供給するための非常に重要な回路です。

特に、消費電力の大きい高性能なCPUを搭載する場合や、オーバークロックを行う場合には、このVRMの品質がPC全体の安定性を大きく左右します。

一般的に、価格帯の高いB550マザーボードは、このVRMがより強力に設計されています。

「フェーズ数」という指標で語られることが多く、この数が多いほど、一つ一つの部品にかかる負荷が分散され、発熱が抑えられ、より安定した電力供給が可能になります。

例えば、8コア16スレッドのRyzen 7 5700Xや、それ以上のRyzen 9シリーズといったCPUの性能をフルに引き出したい場合、VRMが堅牢なB550マザーボードを選ぶ方が間違いありません。

A520は、どちらかといえばRyzen 5やRyzen 3といった、比較的消費電力の少ないCPUとの組み合わせを想定して設計されています。

A520にハイエンドCPUを搭載すること自体は可能ですが、長時間の高負荷な作業を行うと、VRM部分の熱が原因で性能が最大限に発揮されない(サーマルスロットリング)可能性がB550に比べて高まります。

2-5. 見落としがちなポイント:チップセット自身の接続バス

少しマニアックな話になりますが、CPUとチップセットを結ぶ「道」の太さにも違いがあります。

B550はPCIe 4.0 x4で接続されるのに対し、A520はPCIe 3.0 x4で接続されます。

この道は、チップセットにぶら下がる各種デバイス(SATAポート、USBポート、チップセット経由のPCIeスロットなど)が共用で使うため、理論上はB550の方が2倍の帯域幅を持っています。

複数のSATA SSDに同時にアクセスしつつ、多くのUSB機器を使い、さらにPCIe x1スロットに差した拡張カードも使う…といった、PCの機能をフル活用するような使い方をした際に、この差がボトルネックのなりにくさとして現れる可能性があります。

一般的な使い方では体感できる差ではありませんが、知識として知っておくと良いでしょう。

2-6. 当然だけど重要:価格の違い

これまで見てきたように、性能や機能でB550が優れている分、当然ながら価格も高くなります。

2025年8月現在の市場価格を見ると、大まかな目安は以下の通りです。

  • A520マザーボード: 約8,000円 ~ 15,000円
  • B550マザーボード: 約12,000円 ~ 30,000円以上

A520は1万円前後で十分な品質の製品が手に入る一方、B550は非常に価格帯が広いです。

B550の中でも、安価なモデルはVRMや拡張性が控えめだったり、高価なモデルは非常に強力なVRMやWi-Fi 6E、2.5G LANなどの付加価値を備えていたりと様々です。

単純に「B550だから何でも良い」というわけではなく、自分の求める機能と予算を天秤にかけて、適切な価格帯の製品を選ぶ必要があります。

より詳しい情報は、各マザーボードメーカーの公式サイト(例:ASUS, MSI, GIGABYTE)で確認することをお勧めします。

2-7. 対応CPUの注意点:BIOSアップデートの罠

A520とB550は、どちらもAMD Ryzen 5000シリーズ、4000Gシリーズ、3000シリーズに対応しています。

しかし、一つだけ非常に重要な注意点があります。

それは「BIOS(バイオス)のバージョン」です。

BIOSはマザーボードを制御する基本的なプログラムで、新しいCPUが発売されると、そのCPUに対応するための新しいBIOSがメーカーから提供されます。

もし、購入したマザーボードのBIOSが古く、あなたが使いたいCPUに対応していない場合、PCは起動しません。

特に、Ryzen 5000シリーズの中でも後期に発売されたCPU(Ryzen 7 5700XやRyzen 5 5600など)を使う場合、マザーボードの製造時期によってはBIOSアップデートが必須となるケースがあります。

最近製造された製品であれば対応済みの場合が多いですが、万全を期すなら、購入時に商品のパッケージや販売店のWebサイトで「Ryzen 5000シリーズ対応済み」といった表記があるか確認しましょう。

自信がない場合は、多くのPCパーツショップが有償で行っている「BIOSアップデートサービス」を利用するのが最も確実です。

第3章:【用途別】あなたに最適なのはどっち?A520とB550の最終結論

さて、ここまでA520とB550の技術的な違いを詳しく見てきました。

この章では、それらの違いを踏まえて、「具体的にどんな人がどちらのチップセットを選ぶべきか」を、具体的な利用シーンに沿って結論付けていきます。

3-1. A520チップセットがおすすめな人

A520は「今、必要な機能だけあればいい」と考える、賢明で現実的なユーザーのためのチップセットです。

ケース1:とにかく予算を抑えたい!コスパ最優先PCを組む

PC一式を10万円以下で組みたい、といった予算重視のケースでは、A520が輝きます。

B550との価格差である数千円~1万円を、CPUやグラフィックボード、メモリのアップグレードに回した方が、総合的なパフォーマンスが高まることも少なくありません。

例えば、以下のようなコストパフォーマンスを重視した構成には最適です。

  • CPU: AMD Ryzen 5 5600 / Ryzen 5 5500
  • マザーボード: A520チップセット搭載モデル
  • GPU: NVIDIA GeForce RTX 3050 / AMD Radeon RX 6600
  • 用途: フルHD画質での軽めのゲーム、普段使い

ケース2:用途はネットサーフィンや動画視聴、Office作業がメイン

PCの主な使い道がWebサイトの閲覧、YouTubeなどの動画視聴、WordやExcelでの書類作成といった場合、PCIe 4.0やオーバークロックといったB550の持つアドバンテージは宝の持ち腐れになります。

これらの用途では、PCIe 3.0のSSDでも速度は十分すぎるほど速く、CPUを定格で使っていても何一つ不自由はありません。

オーバースペックなパーツにお金を払うのではなく、A520で賢く節約するのがベストな選択です。

ケース3:初めての自作PCで、難しいことはしたくない

A520の「オーバークロック非対応」という仕様は、初心者にとってはむしろメリットです。

BIOS設定画面に複雑な項目が少なく、シンプルで分かりやすい構成になっています。

余計な設定をいじってPCが不安定になるリスクを避け、「組み立てて、OSをインストールしたら、すぐ安定して使える」という安心感を求めるなら、A520は非常に良いパートナーになるでしょう。

3-2. B550チップセットがおすすめな人

B550は「今の快適さも、未来の可能性も諦めたくない」と考える、パフォーマンスと将来性を重視するユーザーのためのチップセットです。

ケース1:最新ゲームを最高の環境でプレイしたいゲーマー

WQHDや4Kといった高解像度で最新のPCゲームを快適にプレイしたいなら、B550が推奨されます。

特に、今なお最強クラスのAM4ゲーミングCPUである「Ryzen 7 5700X3D」や「Ryzen 7 5800X3D」の性能を最大限に引き出すには、堅牢な電源回路を持つB550マザーボードが最適です。

PCIe 4.0対応の超高速NVMe SSDと組み合わせることで、ロード時間を極限まで短縮し、最高のゲーミング体験を得ることができます。

  • CPU: AMD Ryzen 7 5700X3D / Ryzen 7 5800X3D
  • マザーボード: B550チップセット搭載モデル(VRMがしっかりしたもの)
  • GPU: NVIDIA GeForce RTX 4060 Ti / RTX 4070 SUPER など
  • 用途: 高フレームレートでの対戦ゲーム、高画質でのAAAタイトルプレイ

ケース2:動画編集や3Dレンダリングなど、クリエイティブな作業をする

4K動画の編集、RAW画像の現像、3Dモデリングなど、巨大なデータを扱うクリエイティブな作業では、ストレージの速度が作業効率を大きく左右します。

B550とPCIe 4.0 SSDの組み合わせは、素材の読み込み、プレビュー、そして最終的な書き出し(レンダリング)まで、あらゆる場面で待ち時間を短縮し、あなたの創造性を加速させます。

また、VRMが堅牢なB550マザーボードは、長時間のレンダリング作業などでCPUに高い負荷がかかり続けても、安定したパフォーマンスを提供します。

ケース3:将来のパーツ交換や増設を見据えている

「今は予算がないからミドルクラスの構成だけど、2~3年後にはグラボを最新のものに交換したい」
「SSDの容量が足りなくなったら、もう1枚増設したい」

そんな風に、将来的なアップグレードを考えているなら、B550の拡張性が生きてきます。

豊富なM.2ソケットやPCIeスロット、USBポートは、未来のあなたが「やりたいこと」を実現するための土台となります。

数千円の初期投資で、PCの寿命を延ばし、長く付き合える一台を組むことができるのです。

ケース4:CPUオーバークロックで性能を限界まで引き出してみたい

PCを単なる道具としてだけでなく、趣味として性能を追求したいユーザーにとって、B550のオーバークロック機能は大きな魅力です。

CPUの限界を探り、ベンチマークスコアを1点でも高めることに喜びを感じるなら、選択肢はB550以外にありません。

この探求の自由こそが、B550が提供する価値の一つです。

3-3. それでも迷うあなたへ:判断を誤らないための最終チェックポイント

ここまで読んでもまだ決断できない…という方のために、最終的な判断を助ける3つの質問をします。

自分自身の心に問いかけてみてください。

  1. 「5年後、自分はこのPCで何をしているだろうか?」
    今の使い方だけでなく、将来的にゲームや動画編集を始めたくなる可能性はありませんか。将来の自分を想像することが、将来性への投資(B550)が必要かどうかを教えてくれます。
  2. 「自分にとって、どうしても譲れない機能は何か?」
    「とにかく速いSSDが絶対条件」「USB機器をたくさん繋ぎたい」「OCで遊んでみたい」など、譲れないポイントをリストアップしてみましょう。そのリストにB550でしか実現できない項目があれば、答えは明確です。
  3. 「A520とB550の価格差(約5,000円~10,000円)で、何ができるか?」
    その差額で、マウスやキーボードを少し良いものにしたり、好きなゲームを1~2本買ったりできます。B550の機能が、その体験価値を上回るかどうかを冷静に考えてみましょう。

第4章:A520とB550マザーボード選びでよくある質問 (Q&A)

最後に、A520とB550を選ぶ際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。

あなたの最後の疑問も、ここで解消されるはずです。

Q1. 同じB550なのに値段が1万円台から3万円台まであるのはなぜ?

A. マザーボードの「格」が違うためです。

具体的には、主に以下の要素で価格が変わります。

  • VRM(電源回路)の品質: 高価なマザーボードほど、より多くの電力を安定して供給できる強力なVRMを搭載しており、ハイエンドCPUも安心して使えます。
  • 搭載機能: 高速な2.5Gbps LAN、最新のWi-Fi 6E、高音質なオーディオ回路、豊富なUSBポートなど、付加機能が充実しているほど高価になります。
  • 拡張性と冷却性能: M.2スロットの数、ヒートシンクの大きさや数、基板のデザインなども価格に影響します。
  • メーカーとブランド: 実績のある人気メーカーや、その中でもゲーミングに特化したブランド(ASUSのROGシリーズなど)は高価になる傾向があります。

自分の構成(特にCPU)に見合ったVRMを持ち、必要な機能が揃っている製品を選ぶことが重要です。

Q2. 小さいPCを作りたいけど、どちらがいい?

A. どちらのチップセットでも小さいPCは作れますが、目的によって選択が変わります。

PCケースのサイズ(フォームファクタ)には、一般的なATXの他に、Micro-ATX(少し小さい)、Mini-ITX(とても小さい)といった規格があります。

A520、B550ともに、これらの規格のマザーボードが各社から発売されています。

性能や拡張性をあまり求めない、コンパクトでシンプルなPCを目指すなら、安価なA520のMini-ITXやMicro-ATXマザーボードは非常に良い選択です。

一方で、「小さくても高性能」なロマンあふれるPCを組みたいなら、B550のMini-ITXマザーボードが最適です。

Q3. A520にPCIe 4.0のグラボを挿しても動きますか?

A. はい、全く問題なく動作します。ただし、PCIe 3.0の速度で接続されます。

PCI Expressには後方互換性があるため、A520(PCIe 3.0)のスロットにPCIe 4.0のグラボを挿しても、自動的にPCIe 3.0モードで認識され、正常に動作します。

前述の通り、ほとんどのゲームやアプリケーションにおいて、この速度差による性能低下はごく僅かであり、体感するのは困難です。

予算の都合でA520を選び、グラボは最新のものを使いたい、という選択も全く問題ありません。

Q4. BIOSアップデートって自分でできますか?

A. はい、可能ですが、初心者には少しリスクが伴います。

多くのマザーボードメーカーは、CPUがなくてもBIOSをアップデートできる機能(ASUSの「BIOS FlashBack」など)を提供しています。

メーカーの公式サイト(例えば、AMDのサポートページ)から最新のBIOSファイルをダウンロードし、USBメモリに入れて特定の手順で実行すればアップデートできます。

しかし、手順を間違えたり、アップデート中に停電が起きたりすると、最悪の場合マザーボードが起動しなくなる(文鎮化する)リスクがあります。

自信がない方は、PCパーツショップの購入時オプションサービスを利用することを強く推奨します。

Q5. 今からAM4プラットフォームを選ぶのは時代遅れですか?

A. 決してそんなことはありません。むしろ「賢い選択」です。

2025年において、最新・最高の性能を求めるならAM5プラットフォームが選択肢となるのは事実です。

しかし、AM5はCPU、マザーボード、DDR5メモリの三点セットが高価で、システム全体のコストが非常に高くなります。

一方でAM4は、プラットフォームとして完全に成熟しており、非常に安価に高性能なパーツが手に入ります。

特にB550チップセットとRyzen 5000シリーズCPUの組み合わせは、現在主流のゲームやほとんどのクリエイティブ作業を快適にこなせるだけの十分なパワーを持っています。

限られた予算の中で最大限の性能を引き出せるAM4は、新規で自作するユーザーにとっても、依然として非常に魅力的な選択肢であり続けています。

あなたのPCライフに寄り添う一枚を選ぼう

長い旅路、お疲れ様でした。

A520とB550、二つのチップセットの違いは、もはやあなたの頭の中で明確に整理されていることでしょう。

最後に、本記事の要点を改めてまとめます。

この二つのチップセットの最も本質的な違いは、「PCIe 4.0への対応」「CPUオーバークロックの可否」という2点に集約されます。

これがPCのストレージ速度、将来の拡張性、そして所有する喜びという、PC体験の根幹を左右するのです。

  • A520は、「現在のコストと必要十分な性能」を求める、堅実で賢いあなたのための選択です。オーバースペックな機能に余計なコストを払うことなく、日々の作業を快適にこなす信頼できる相棒となります。
  • B550は、「未来への投資と最大限のパフォーマンス」を求める、情熱的で探求心あふれるあなたのための選択です。最新技術の恩恵をフルに受け、将来のアップグレードにも柔軟に対応し、あなたの「やりたい」という気持ちを限界なくサポートしてくれます。

どちらが優れている、劣っているという話ではありません。

あなたのPCの使い方、価値観、そして予算に、どちらがより寄り添ってくれるかの違いです。

この記事で得た知識という羅針盤を手に、自信を持ってあなたに最適なマザーボードを選び、最高の自作PCライフをスタートさせてください!

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